Vol.450
2023年4月3日 公開
長いマスク生活でクラスメイトの顔も充分に認識できないまま卒業し、進学や就職で4月を迎えた人は多いかもしれません。
また、この時期をきっかけに転職して新しい暮らしを始める人や、自分の可能性を信じて別の世界に飛び込んでいく人もいるのでしょうね。
感染症が完全に収束したわけでもなく、他国で戦争が続いている状況からすると、決して恵まれている時代とはいえないのでしょうが、かといって過去を振り返ってみて恵まれていた時代があったかというと、なぜか考え込んでしまいます。
それでも人々が希望を持って次の目標に向かって歩き始めるのはなぜでしょうか。
第二次世界大戦での敗戦や、バブル経済の崩壊、多くの命が奪われた大震災・・・。未曾有の出来事を経験してもなお困難な状況に立ち向かってきた人々の姿が、希望を失わずに生きることの大切さをおしえてくれているからかもしれません。
さらに時代はさかのぼって、満足な航海技術が確立していない時代に危険を承知で日本にやってきた宣教師たちも、厳しい弾圧のなかで命をかけて信仰を続けた潜伏キリシタンたちも、大切なことを私たちに語りかけてくれているようです。
シンガーソングライター中島みゆきさんの代表作に「時代」という歌があります。
〜今はこんなに悲しくて涙も枯れ果てて もう二度と笑顔にはなれそうもないけど そんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ あんな時代もあったねと きっと笑って話せるわ だから今日はくよくよしないで 今日の風に吹かれましょう(後略)〜
この歌が、旅立ちのときを迎えた人たちへのエールになればいいなと思います。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)