Vol.446
2023年3月6日 公開
3月6日は、二十四節気の一つ「啓蟄(けいちつ)」。
「啓」は「開く」、「蟄」は「虫などが土の中に閉じこもる」ことを意味し、冬眠からさめた虫たちが活動を始める頃のことを言います。
虫などが活動を始めるのは一日の平均気温が10℃を超えるくらいからだそうで、それらを捕食する動物たちもこの頃から活動を始めるようです。
また、この時期は卒業シーズンでもあり、徐々に日差しが暖かくなることもあって仕事に頑張ろう、何か新しいことを始めようなどと、これまで以上にやる気も芽生えてきます。
季節の移り変わり同様、人々の暮らしに大きな影響をもたらすのが時代や社会の変化。しかし、世の趨勢が私たちに夢や希望を与えてくれるかというと、必ずしもそうではないようです。
幕末から明治期にかけて日本には様々な西洋文化がもたらされ、人々の暮らしも大きく変わっていきました。
キリシタン禁制の高札が取り除かれたのはそんな中での出来事でした。このとき潜伏していた信徒たちはどんなにか喜び、これからの信仰に希望を抱いたことでしょう。
しかし、高札の撤去はキリスト教の解禁を意味するのではなく、ただキリスト教を黙認するというもので、キリスト教を排斥する風潮はむしろ活発化していったといわれています。
長い禁教の時代を経てたどりついた高札撤廃は、真の信仰の自由を希求する旅の始まりだったといえるのかもしれません。
いくつになってもこの時期になると生まれてくるささやかな夢や希望・・・。誰にでも等しく訪れる春に今年も感謝したいと思います。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)