Vol.444
2023年2月20日 公開
2月20日は「歌舞伎の日」。
1607年(慶長12年)のこの日(新暦3月17日)、出雲阿国(いずものおくに)が将軍徳川家康や諸国の大名の前で「かぶき踊り」を初めて披露したことに由来しています。
出雲阿国は「ややこ踊り」という幼女の踊りをもとにつくった「かぶき踊り」の創始者として知られ、1603年には京都鴨川四条河原で初めて披露したといわれています。
関が原の戦いでようやく戦乱の時代が終わり、人々が平和を実感しているときに登場した「かぶき踊り」はたちまち流行し、阿国を模倣した女性芸人が次々に登場。その奇抜な芸能に民衆は大いに酔いしれたそうです。
この頃に描かれた「歌舞伎図巻」は、初期の「かぶき踊り」だけではなく、当時の風俗を知るうえで貴重な作品として国の重要文化財に指定されています。
よく見ると、舞台中央で踊る女性演者の胸元で揺れているのは十字架の首飾り。
当時はすでにイエズス会の宣教師たちによってキリスト教文化がもたらされていましたので、少なからず演者や演目がその影響を受けていたのでしょうね
時は過ぎ、狂言作家として知られる四代目 鶴屋南北(つるやなんぼく)の作品にはキリシタンの言葉で「天国」を意味する「ハライソ」や、「キリシタンの妖術ではないか」と話題を集めた水中での早替わりなども登場したそうです。
歌舞伎もキリスト教の影響を受けていた・・・。なんとも興味深い話ですね。
その後「かぶき踊り」は風紀の乱れなどを理由に禁止され、かわって少年たちが演じる「若衆歌舞伎(わかしゅかぶき)」が人気となり、さらに現代のような成人男性が演じる歌舞伎へと移行、発展していったようです。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)