Vol.442
2023年2月6日 公開
2月6日は「抹茶(まっちゃ)の日」。
茶道では炭と灰を入れて火をおこし、そこに釜をかけてお湯をわかす道具を風炉(ふろ)というそうですが、これにちなんだ「2(ふ)6(ろ)」の語呂合わせから制定されました。
抹茶は緑茶の一種で碾茶(てんちゃ)を粉末にしたもの。茶道で用いられるのはもちろん、お菓子や料理の素材としてもよく使われています。
日本におけるお茶の栽培の歴史は古く、1191年に臨済宗の開祖栄西が中国から持ち帰った種を長崎県平戸市千光寺と佐賀県脊振山の山腹にまいたのが始まりだといわれています。
その後、質素な茶室や茶道具を使用するようになり、亭主と客人の交流を重んじる「わび茶」が完成。これを発展させたのが千利休でした。
日本にキリスト教が伝えられて以降、来日した宣教師たちは日本のお茶文化に着目し、西欧と日本の飲み物の違いなどについて著書に記したそうです。
また、フランシスコ・ザビエルやルイス・アルメイダが大坂の堺を訪れた際には茶人の豪商から茶の湯に招かれ交流を深める一方、キリスト教の宣教活動に茶の湯を取り入れようと教会内に茶室を設置したともいわれています。
茶道はお茶を飲むだけでなく、おもてなしや「わびさび」の心が息づく日本の伝統文化。宣教師たちもきっとキリスト教の精神に通じる何かを感じていたのでしょう。
長崎県は全国茶品評会で連続して日本一に輝くなど、その品質が高く評価されている有数のお茶どころ。
できれば抹茶を点てて、それが無理ならせめて緑茶をゆっくりと飲みながら、キリスト教と茶の湯の文化に想いを巡らせるのもよいかもしれませんね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)