Vol.441
2023年1月30日 公開
冬は火災が発生しやすい季節。消防車のサイレンの音を聴くと思わず窓をあけて外を見るという人も多いかもしれませんね。
今は防災対策を講じればある程度は火災を防ぐことはできますが、ほとんどの住宅が木造だった時代はひとたび住宅に火が付いてしまうと、あっというまに燃え広がり大火になっていました。
1788年1月30日(新暦3月7日)に発生した京都の大火もそのひとつ。鴨川東岸の空き家から出た火は強風にあおられ、御所、二条城などの要所を含めた多くの建物を燃え尽くし市中の8割近くを焼失しまったそうです。
長崎でもこの大火から10年後の1798年に出島で大火が発生しました。
ちょうど五島藩から要請を受けた大村藩が領民たちの五島への移住を承諾し、多くの潜伏キリシタンが新天地を求めて海を渡っていた頃でした。
この火災により商館長ヘンドリック・ドゥーフが住んでいたカピタン部屋も焼失。その再建には10年の歳月を要したといわれています。
木造の建築物が多かった時代は、江戸でも京都でも長崎でも、そして潜伏キリシタンが移住した五島列島でも人々はいつも火災の恐怖におびえていたのでしょう。
家のまわりに燃えやすい物を置かない。火がついたコンロから離れるときは必ず消す。ストーブのまわりに燃える物を置かない。そして消火器や住宅用火災警報器などを設置する。
ふだんから「火の用心」に気をつけて快適な冬をお過ごしください。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)