Vol.436
2022年12月12日 公開
12月12日は「ダズンローズデー」。
ダズン(dozen)は英語で1ダースの意味。欧米では12本のバラを愛情のしるしとして恋人に贈ると幸せになれるという言い伝えがあることからこの日が制定されたようです。
今月はただでさえクリスマスプレゼントで出費がかさむのに、それよりも前に高価なバラの花を恋人に贈るなんて・・・と思った方々、これは知らなかったことにしておきましょう。
キリスト教を象徴する花ともいわれているバラ。赤いバラはキリストの受難を、白いバラは聖母マリアの純潔を意味しているそうです。
潜伏キリシタンが伝えてきた「マリア十五玄義図」には白い椿を持った聖母マリアが描かれていますが、それは当時の日本にバラの花がなかったため、代わりに椿の花を描いたのではないかといわれています。
五島列島はヤブツバキの自生地としてしられており、点在する多くの教会のステンドグラス、天井、柱などの内部装飾に椿の花の意匠がほどこされています。
冬の寒さにも負けずに咲く椿の花は、厳しい弾圧に耐えながら信仰を守り続けた潜伏キリシタンの姿と重なります。
数年前、五島市久賀島(ひさかじま)の牢屋の窄(ろうやのさこ)を訪れたとき、その入口で愛らしい椿の花が描かれた石のオブジェを見つけました。
献金箱に100円玉を2枚入れて手にした2つの小さな石。そのなめらかな感触を今でもおぼえています。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)