おらしょ こころ旅

Vol.427

秋空を見上げるとき

2022年10月10日 公開

1010日は「スポーツの日」。

この日は1966年から1999年まで「体育の日」として親しまれていましたが、法律の改正によって2020年から「スポーツの日」と名称が変更になりました。

振り返ってみればこの日は晴れの日が多く、あちこちで運動会が行われていました。私が通っていた小学校の運動会もたしかこの時期だったと思います。

足が速いわけでもなく、クラス対抗リレーの選手に選ばれているわけでもないのになぜか興奮して寝付けなかった運動会の前日。

新調してもらったはだし足袋(たび)、色鮮やかな入場門、運動場に引かれた白線、青空に舞う万国旗、スタートの号砲・・・。そんな映像が歓声に包まれた運動場の風景とともに脳裏に浮かんできます。

全校生徒が、父兄が、近所の人々が一緒になって熱狂し、季節を謳歌している。そんな瞬間がとても好きでした。

以前、このコラムでも紹介しましたが、小学校の校区にはカトリック信者の家が多く、学校のそばにはキリシタン墓碑が立ち並ぶ経の峰(きょうのみね)共同墓地がありました。

その後、引っ越して通い始めた中学校の近くにも赤城墓地や秘密教会跡、通学路の途中には帳方屋敷跡の如己堂(にょこどう)があり、自宅のそばには殉教者のお墓もありました。

当時、何気なく通っていた場所が歴史的に価値のあるものだと知ったのは、世界遺産登録への取り組みが始まってからのことでしたが、それ以来、そんな場所に一人でふらりと出かけることも多くなりました。

徒競走で胸の高鳴りを感じながらスタートラインに立っていた少年時代と、それから数十年たった今がつながっている・・・。

澄み切った秋空を見上げるとき、そんな不思議な感覚をおぼえるのでした。

 

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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