Vol.414
2022年7月11日 公開
今年は長崎大水害から40年、諫早大水害から65年の節目の年です。自治体などではこれを受けて防災意識を高めてもらおうと、さまざまな催しを計画しているようです。
近年、気候変動により全国で発生している大規模な災害。長崎県内でも記録的な大雨などによって甚大な被害が出ています。とくに河川のそばや斜面地などに住んでいる方々は気の抜けない日々が続きます。
今では防災情報などもリアルタイムに入手できますが、情報が不足していた時代の人々にとって災害を回避するのは大変なことだったと思います。
18世紀末から19世紀にかけて長崎の外海地区から五島列島へ開拓農民として移住した潜伏キリシタンたち。彼らが集落を形成したのは、地元の人々が住む集落から離れた未開の斜面地や丘陵地帯でした。
数年前、五島列島北部に位置する野崎島を訪れたことがあります。
小値賀島から町営船に乗って島に渡り、船着き場から歩いて旧野首教会へ。そしてさらに険しい山道に入って歩くこと約1時間30分・・・。
たどり着いたのは島の南端にある舟森(ふなもり)集落跡。転げそうな急斜面には石を積み上げてつくった段々畑の跡がのこっていました。
禁教期、人々は崖崩れや地滑りの恐怖に怯えながらも自然と向き合い、肩を寄せ合って暮らしていたのでしょう。災害によって命を落とした人もいたかもしれません。
季節は梅雨から本格的な夏へ、そして台風シーズンへと向かいます。
自宅のある場所が河川の浸水や土砂災害の恐れがある区域になっていないか、避難所、避難場所はどこにあるのか、あらかじめハザードマップなどを確認し、防災に備えておくことが必要です。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)