Vol.68
2015年10月19日 公開
秋は行楽シーズン。これからは紅葉がきれいな季節ですね。長崎県内でも10月下旬から11月下旬にかけて美しい紅葉を楽しむことができます。
県内の紅葉の名所といえば、諫早市の轟(とどろき)峡や、佐世保市吉井町の御橋(おはし)観音、対馬市の舟志(しゅうし)のもみじ街道などがあげられますが、最も早く見頃を迎えるところといえば雲仙岳でしょうね。
雲仙は、701年、行基が大乗院満明寺を開山して以来、温泉山(うんぜんざん)と呼ばれていましたが、1934年の国立公園指定を機に、ほかの温泉地との混同を避けるために「雲仙」と改められたそうです。
湯治場としての歴史も古く、1653年、代々湯守となる加藤善左衛門が湯つぼをひらいて共同浴場を開設。その標高の高さから夏でも涼しいため、明治以降は外国人向けの温泉保養地として栄えました。
今も活発に噴気を上げる雲仙地獄は観光の目玉になっていますが、1627年から1631年まではキリシタン殉教の舞台になったことでも知られおり、ここで地獄の熱湯をかけて転宗を迫るなど残酷な拷問が行われたといわれています。
雲仙地獄で忘れてはならないのが、火山の恵みを利用して作る温泉たまご。訪れたらぜひ味わいたい雲仙の名物です。
美しい紅葉をめで、奥深い歴史にふれ、秋の味覚に舌つづみを打ち、そして温泉に入る。ちょっと足を伸ばしてゆったりと、五感を満足させる秋の雲仙を楽しんでみませんか。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)