Vol.61
2015年8月31日 公開
サンタ・クララ堂跡(長崎市大橋町)、サン・フランシスコ・ザベリオ堂跡(長崎市橋口町)、サンタ・マリア堂跡(長崎市辻町)、サン・ヨゼフ堂跡(長崎市辻町)。これらはすべて信徒たちがひそかに祈りをささげた秘密教会跡です。
信徒発見後、潜伏キリシタンは再び司祭の指導を受けるようになりましたが、信仰の自由を与えられることはなく、寺請制度によって仏寺の檀徒になることを強制されていました。
そんなか、浦上の信徒たちは大浦天主堂の神父を招いて教えを学ぶために4つの秘密教会をつくりました。しかし1867年、仏式の葬式を拒んだことをきっかけに「浦上四番崩れ」が勃発。浦上村のキリシタン約3400人が西国20藩に分かれて流配されたのです。
昨年夏はサンタ・クララ堂跡とサン・フランシスコ・ザベリオ堂跡を、そして今年の夏はサンタ・マリア堂跡、サン・ヨゼフ堂跡を訪れました。
堂跡には石碑と案内板があるだけですが、ここで息をひそめるようにして祈り、信仰を守り続けた人々の姿を想像することはできます。
こうした弾圧の歴史を物語る史跡や殉教地を訪れるとき、わきあがってくるある想いがあります。
彼らはどうしてこんなにも純粋に信じることができたのか。
その答えを求めて、長崎の教会群とキリスト教関連遺産をめぐる旅は続きます。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)