Vol.57
2015年8月3日 公開
70年。それがどれほど長い年月なのかは、60を過ぎた自らの人生を振り返れば容易に理解できます。長崎の人々は70年間、被爆の実相を訴え、世界の恒久平和を願ってきたのです。
今年、長崎市では被爆70周年という節目の年に、民間団体などから募集した演劇や美術、音楽、映像などの催しを中心に記念事業を実施しています。
すでに終了したものもありますが、超巨大壁画を制作・展示する『キッズゲルニカ大会inながさき』(8月6日〜12日/平和公園中心地地区)や、オペラ『いのち』(9月5日〜6日/長崎ブリックホール大ホール)など記念公演はまだまだ続きます。
そのなかでも注目を集めているのが、プロジェクションマッピング(立体投影)を使って被爆の実相、復興の道のりを伝える『浦上天主堂再現プロジェクト』(8月6日及び8日/投影場所:浦上教会、会場:天主公園)。
これは、浦上天主堂の創建当時や、双塔が完成し鐘楼が設置されたときの姿、原爆による倒壊、そして再建した姿などをデジタル立体画像で現在の教会の壁面に再現するというもの。これまでとは違った視点で教会の歴史が体感できそうです。
国の進む道が大きく変わるかもしれない今、改めてここで立ち止まり、被爆70周年記念事業や、8月9日の平和祈念式典を通して、「平和」について考えてみたいと思います。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)