Vol.53
2015年7月6日 公開
7月6日は、「ピアノの日」。1823年の今日、シーボルトが日本に初めてピアノを持ち込んだことに由来しているそうです。
シーボルトは、1796年、現在のドイツバイエルン州に生まれました。彼が医師の道を歩み始めた頃、その優れた技術や豊富な知識に目をつけたオランダ政府は、日本の総合的な調査のために彼を日本に派遣することを決定。1823年、出島のオランダ商館医として来日しました。
厳しい禁教下のなか、オランダ人は出島から外へ出ることはできませんでしたが、彼の存在はすぐに知れわたり、1年後には長崎奉行所の許可を得て「鳴滝塾」を開設。全国から集まった医師たちに西洋医学や自然科学を教えました。
しかし、日本で集めた資料のなかに持ち出し禁止の品があったため、国外に追放。オランダに戻ったシーボルトは、日本での研究成果を次々に発表し、ヨーロッパにおける日本研究の第一人者となりました。
アジサイに最愛の妻、お滝さんに由来する「オタクサ」という学名をつけてヨーロッパに紹介したことはよく知られていますが、彼が持ち帰ったテッポウユリの球根が人気となり、のちにキリストの復活祭に用いられる「イースター・リリー」として大流行したという話ものこっています。
「ピアノの日」からはじまったシーボルトの話。彼が出島の外科部屋で故郷の歌曲を演奏したというこのピアノは、現在、山口県萩市の熊谷美術館に展示されているそうです。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)