Vol.486
2023年12月11日 公開
旧暦の冬至にあたる12月13日は、スウェーデンをはじめとした北欧の国々と南欧の一部の国でキリスト教の聖人ルチアの聖名祝日を祝う「聖ルチア祭」が行われます。
イタリアのシチリア島で殉教したとされる聖人ルチアは、一説では地下牢に隠れていたキリスト教徒を援助するために毎日のようにロウソクをともして地下牢に食糧を運んでいたそうです。
彼女は拷問によって両目を失うものの、奇跡が起きて目がなくても見ることができるようになったといわれており、貧しい人々の暮らしに光を与えたことから、光の明るさを表すルクスという単位は彼女の名前に由来しているといわれています。
祭りではロウソクの冠をかぶり、白いガウンをまとったルチア役の少女が歩き、そのあとを精霊役の少女たち、さらに星形のスティックを持った少年たちが続きます。
このときに歌うのが、聖人ルチアに由来するイタリア南部ナポリの港町の歌『サンタ・ルチア』。中学校の音楽の時間に歌った記憶がある人も多いでしょうね。
歌い初めが「月は高く、海に照り、風も絶え、波もなし・・・」や「空に白き、月の光、波を吹く、そよ風よ・・・」など日本語の訳詞はいくつかあるようですが、訪れたことがなくてもこの歌から美しい風景が想像できます。
ドイツの文豪ゲーテが「ここを見ずして死ぬことなかれ」と言ったとされるナポリ。歴史地区は世界文化遺産にも登録されているそうですから一度は訪れてみたいものです。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)