Vol.477
2023年10月9日 公開
10月9日は、4年ぶりに通常開催となった長崎くんちの後日(あとび)。今年は土曜、日曜、月曜(祝日)と曜日にも恵まれ、久しぶりに多くも皆さんが踊町(おどりちょう)の勇壮華麗な演し物を堪能していることでしょう。
長崎くんちは、約390年の伝統を誇る諏訪神社の秋の大祭。1634年(寛永11年)、二人の遊女が諏訪神社前に謡曲「小舞」を奉納したことに始まるといわれています。
長崎は1571年の開港以来、キリスト教の普及によって住民の多くが信徒になるなど、キリシタンのまちとして栄えていました。
しかし江戸幕府のキリスト教禁教令の発布により状況は一変。まちには神社仏閣が建てられるようになり、南蛮貿易で利益を得ていた人々や貿易商人は微妙な立場に追いやられることになったのです。
そして長崎奉行は、住民すべてを諏訪神社の氏子とし、くんちへの参加を義務づけたのでした。
開催前の10月3日に行われる庭見せは、稽古も仕上がり、奉納の準備が整ったことを披露する行事。
窓や扉、ふすまなども取り外し、表通りから家の中が見通せるようにして奉納で身に付ける衣裳や道具、知人などからいただいた御花(おはな)などのお祝いの品を飾ります。
家の中まで見せることによって、キリシタンではないことを示したともいわれています。
キリシタンの歴史とも深いつながりがある長崎くんち。のこり1日、存分に楽しんでください。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)