Vol.472
2023年9月4日 公開
9月5日は「石炭の日(クリーン・コール・デー)」です。
1992年、現在の経済産業省の呼びかけで日本石炭協会など複数の団体が「クリーン(9)」と「コール(5)」の語呂合わせで制定したそうです。
石炭産業といえば、造船業や製鉄・鉄鋼業などとともに日本の近代化を促進した原動力ともいえる産業。
2015年には端島炭坑(軍艦島)、高島炭坑(北渓井坑跡/ほっけいせいこうあと)など8つの産業遺産が「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成遺産として世界文化遺産に登録されました。
長崎県内にはこういった炭坑跡のほか、歴史を物語る数多くの遺構や史跡がのこされています。明治期、福岡県大牟田の三井三池炭鉱の石炭の積み出し港として賑わった南島原市口之津(くちのつ)港もそのひとつです。
当時の三池は小型船しか接岸できなかったため、充分な水深がある口之津港に入港し、ここで石炭を大型貨物船に移し替えて海外に輸出していたそうです。
古くから海上交通の要衝だった口之津港は、16世紀に南蛮貿易港として開港され、キリスト教布教の拠点として栄えました。
まちには往時をしのぶ数々の史跡のほか、旧長崎税関口之津支署庁舎を改修、活用した口之津歴史民俗資料館があり、キリスト教布教の時代から石炭の海外積出し港として賑わっていた頃の歴史などを紹介しています。
ゆったりとした時が流れる港町、口之津。
休日は少し遠出をして風情ある町歩きを楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)