Vol.468
2023年8月7日 公開
8月に入り「原爆の日」が近くなると、子どもの頃のことをよく思い出すようになりました。
高齢になって昔のことを懐かしむ傾向が強くなったこともあるのでしょうが、やはり少年時代を浦上地区で過ごしたことが大きな要因だと思います。
自宅から歩いていける距離にあった平和公園、学校の授業でよくスケッチにでかけた原爆落下中心地、旧国際文化会館(現在の長崎原爆資料館)は平和学習で何度も訪れたことがありました。
そして近所にはカトリック信徒の家が多く、浦上教会は身近な存在でした。
禁教令の高札撤廃後に建設が計画された浦上教会は、資金が集まらなかったことから1895年にフレノ神父の設計により建設が始まり、1914年に完成しました。
原爆投下によって建物が倒壊したことは知っていましたが、18世紀末から19世紀半ば、浦上村山里で断続的に起きた「崩れ」と呼ばれるキリシタン弾圧事件のことを知ったのはずっとあとになってからでした。
このとき、浦上の人たちはなぜ何度も試練を受けるのか、そう思った記憶があります。
原爆投下から78年が経過し、核兵器のない世界の実現に向けた取り組みが進められる一方で、世界情勢の現状に照らし合わせると核の抑止力が不可欠であるとの認識も広がっています。
8月6日は広島の、9日は長崎の「原爆の日」。皆さんはこのことについてどのように考えるのでしょうか。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)