Vol.46
2015年5月18日 公開
長崎でよくお見舞いやお祝いの贈り物、お土産などにするお菓子といえばカステラ。
長崎が開港した1571年以前に伝えられた南蛮菓子、スペインの「ビスコチョ」や、ポルトガルの「パォン・デ・ロー」がそのルーツだといわれています。
ビスコチョやパォン・デ・ローはもともと修道院でつくられていたらしく、とくにビスコチョはラテン語の「二度焼くこと」を意味する「ビスコクトゥス」が語源のお菓子で、大航海時代の船乗りたちの保存食だったそうです。
現在のようにしっとりとしたカステラが登場したのは、水飴を使うようになった明治期以降のことだとか。それ以前のカステラは堅くてパサパサしていたようです。
最初にカステラをつくった日本人は、長崎代官で熱心なキリシタンだった村山等安だそうです。尾張名古屋から長崎にやってきて南蛮菓子屋を営んでいた等安は、カステラの製造方法を習得して南蛮料理とともに豊臣秀吉に献上。これによって長崎代官の地位を得たともいわれています。
すでにこの時代から贈り物として重宝されていたカステラ。村山等安に限らず、当時の人々は南蛮貿易によってもたらされた珍しい品々や食文化、宣教師たちが伝えたキリスト教に想像以上の興味と感動をおぼえたのでしょうね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)