Vol.456
2023年5月15日 公開
5月15日は「沖縄本土復帰記念日」。1972年(昭和47年)のこの日、沖縄の施政権がアメリカ合衆国から日本に返還されたことを記念して制定されました。
アメリカの施政権下時代の沖縄は、日本本土とは大きく異なり、通貨はアメリカ軍が発行したB円やドルを使用し、車は日本とは反対の右側通行、沖縄を出るときはパスポートが必要でした。
それから20年程が経って、私は年に数回、仕事で沖縄を訪れるようになりました。そして回を重ねるごとに沖縄の人たちのきさくで開放的な人柄や、美しく豊かな自然に魅了されていったのでした。
沖縄県は、かつての琉球(りゅうきゅう)王国。1429年に尚巴志(しょうはし)が各地を統一して誕生しました。
当時は東南アジアとの貿易もさかんに行われ、その交流なかから「三線(さんしん)」や「泡盛(あわもり)」、琉球染物の「紅型(びんがた)」といった琉球文化が生まれたともいわれています。
1609年には薩摩から侵攻され実質的に薩摩藩の支配下となり、江戸幕府の政策が島々に浸透していきました。もちろん、キリスト教の禁教令も例外ではありませんでした。
鎖国によって日本との貿易を絶たれた西欧諸国の商人や宣教師は、直接日本に行くことができなくなったため、琉球を経由して日本へやってくるようになりました。
やがて一隻のスペイン船が石垣島に漂着するのですが、その乗組員のなかに日本での布教経験があるスペイン人宣教師がいたのです。
そして彼らを保護したのが、八重山の最高職だった石垣永将(いしがきえいしょう)でした。
その後、彼は琉球で初めてキリシタンの疑いをかけられ処刑されるのですが、この話の続きはまた来週、お楽しみに。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)