Vol.455
2023年5月8日 公開
カトリック教会では5月は聖母月。色とりどりの花々が咲き、新緑が輝くこの季節は喜びと希望にあふれ、美しい聖母にふさわしい月として各地の教会ではさまざまな行事が行われているようです。
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界文化遺産に登録されて以来、県内の教会を訪れた人も多いと思いますが、まず多くの教会で目にするのが美しいマリア像です。
やさしく慈悲深い表情に心が洗われるような感覚をおぼえた方も多いでしょうね。
県内にはさまざまな聖母像がありますが、そのなかでも特徴的な聖母像をいくつかご紹介しましょう。
まずは、世界宗教上の奇跡といわれる「信徒発見」にちなんだ大浦天主堂の二つの聖母像。一つは入口中央にある「日本之聖母像」、もう一つは堂内の小祭壇に飾られている「信徒発見のマリア像」です。いずれもフランスから贈られたものといわれています。
そして、浦上教会の「被爆のアリア像」。1914年の浦上教会完成時にイタリアから贈られたものでしたが、原爆によって破壊され、のちに焼け跡から頭部だけが発見されました。
現在は教会の小聖堂に安置されており、戦争の脅威、原爆の悲惨さを物語っています。
こういった教会内にある聖母像に加え、長崎市の「岬の聖母像」や新上五島町の「希望の聖母像」など、航海の安全や大漁を祈願するためにつくられた海沿いの聖母像もあります。
また、南フランスのピレネー山脈のふもとにあるルルドの洞窟で起きた奇跡にちなんでつくられたルルドのマリア像など、長崎県内各地で多彩な表情の聖母像に出会えます。
5月14日は母の日。お母さんへの感謝の気持ちを携えて訪れてみるのもいいかもしれませんね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)