Vol.44
2015年5月4日 公開
子どもの頃、緑豊かな草原で遊ぶのが大好きでした。もちろん小学校の遠足も楽しみで、遊んだあと原っぱに寝ころんで空を見上げていると、子どもながらに「生きている!」と実感したものです。
緑豊かな草原といえば、映画『サウンド・オブ・ミュージック』でマリア(ジュリー・アンドリュース)が歌う冒頭のシーンを思い出します。この映画の舞台はオーストリアのザルツブルク。1938年のドイツによるオーストリア併合が時代背景にありました。
修道女見習いのマリアがトラップ大佐の7人の子どもたちの家庭教師となり、やがてトラップ大佐と結婚。ドイツ軍に反発する大佐はいつしか一家で亡命することを決意し、コンクールの日、山を越えてスイスへ向かうというお話でした。
この映画では、「ドレミの歌」「エーデルワイス」など多くのヒット曲が生まれましたが、当時一番好きだった歌は、修道院長がマリアを励ますときに歌う「すべての山へ登れ(Climb Every Mountain)」でした。
すべての山に登りなさい 高い山も低い山も あなたが知るすべての道をたどりなさい すべての流れをわたり すべての虹を追いかけ あなたの夢を見つけるまで
そんな内容だったと思います。今でも元気づけられる歌です。迫害を逃れ、新天地を求めたキリシタンたちの心境もそうだったのかもしれません。
先日、北松浦郡小値賀町の野崎島にわたり、山道を歩いてかつてのキリシタン集落、舟森を訪れました。このときの旅のお話はまたいずれゆっくりと・・・。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)