おらしょ こころ旅

Vol.406

時の旅人

2022年5月16日 公開

よく旅にたとえられる人生。

私たちはこの世に生まれてからいろいろな人々と出会い、さまざまな経験を積み重ねながら成長し、やがて老いて人生の幕を閉じることになります。

人生と旅の共通点をテーマにした歌や文学作品は多く、まさに人生は旅そのものといえるかもしれません。

516日は「旅の日」。1689年のこの日、俳人の松尾芭蕉が江戸を立ち、奥の細道への旅に出発したことを記念して制定されたそうです。

日本のキリシタン史のなかにも数多くの「旅」の物語が息づいています。

1549年、キリスト教を伝えるためにインドのゴアを出発して日本をめざしたフランシスコ・ザビエルの旅。その後来日した宣教師たちが各地で行った布教の旅。

1597年、京都や大坂で捕らえられた26人のキリシタンが長崎に送られた処刑の旅。1865年の信徒発見後の浦上四番崩れで言い渡された信徒たちの流罪の旅。

さらに、江戸幕府が全国にキリスト教禁教令を発布し、禁教の高札が撤廃されるまでの250年以上の月日は、信徒たちがひそかに子孫へと信仰を伝えてきた祈りの旅でもありました。

現代を生きる私たちも今日から明日、あさってへと命をつないでいく時の旅人。笑ったり、泣いたり、怒ったり、感動したりしながら自らの心を育んでいます。

人生の折り返し地点を過ぎて久しい今、これからも毎日を大切に、そして楽しみながら歩いていきたい。改めてそんなことを思う「旅の日」です。

 

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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