Vol.400
2022年4月4日 公開
ポルトガルの宣教師によって日本に伝えられたというパン。当時のものは決して甘くなくパサパサとしていてビスケットのような食感だったといわれています。
その後、パンはキリスト教と関わりがあることなどから避けられていたのですが、開国後、外国人との体格差を痛感した政府や知識人がこぞって肉食やパン食を奨励するようになりました。
しかし、こういった西洋料理は一部の上流階級や貿易商などには普及したものの、一般市民には馴染みがなく、とくにパン食はなかなか浸透しなかったようです。
そんななか、東京で創業していた老舗ベーカリーがおやつとしてパンを提供しようと「あんぱん」を開発。これが明治天皇に献上され喜ばれたことから一気に人気が高まったそうです。
このとき献上されたのは、奈良の吉野から取り寄せた八重桜の塩漬けが入った桜あんぱん。なんとも日本らしい工夫がほどこされていたのですね。
4月4日は、1875(明治8)年に明治天皇が花見をするために水戸藩の下屋敷を訪れた際、お茶菓子としてあんぱんが出された日。
桜の塩漬けが入った甘塩っぱいあんぱん、おいしそうですね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)