おらしょ こころ旅

Vol.389

反省と教訓

2022年1月17日 公開

1月17日は、淡路島北端を震源とする兵庫県南部地震、いわゆる阪神・淡路大震災が発生した日。今から27年前の出来事でした。

この大震災では、政府や行政の対応の遅れなどが指摘される一方で、学生を中心としたボランティア活動が活発化したことから、この日を「防災とボランティアの日」とすることとなり、翌年から実施されるようになりました。

未曾有の自然災害から学んだ反省や教訓は多くの人々の心に根付き、その後の災害に生かされるなど、防災やボランティア活動への意識はさらに高まりをみせています。

しかし一方で、こういった反省や教訓がなかなか生かされない場合もあるようです。

たとえば、異なる思想や宗教、民族間の対立や差別。これを是正しようとする人々の努力によって徐々に改善されつつあるものの、まだまだ充分とはいえない状況です。

日本でキリスト教の禁教令が解かれたのは1873年のことでしたが、これは黙認されただけで、無条件に信仰が保障されたわけではありませんでした。

そればかりか国家神道が事実上の国教として優遇されるなか、信徒への弾圧は続いていたのです。

キリスト教の信仰が完全に保障されるようになったのは戦後のこと。国家と神道が分離され、日本国憲法にそのことが明記されてからでした。

しかし戦後75年以上が経過した今も、自らと異なる主義や思想を排除しようとする動きは広がっています。

対立や差別が生みだす悲劇から学んだ多くの反省や教訓。2022年はその種を育む土壌づくりがさらに進んでいくことを願っています。

 

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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