おらしょ こころ旅

Vol.382

いい夫婦

2021年11月22日 公開

1985年、日本政府の経済対策会議で11月を「ゆとり創造月間」とすることとなり、それを受けて今日11月22日が「いい夫婦の日」に制定されました。

この日は、夫婦がお互いに感謝の気持ちを表すきっかけにしようと様々なイベントも行われているようで、11月22日に入籍するカップルも増えているそうです。

今や夫婦双方の協力なしで家庭生活は成り立たない世の中ですが、歴史をさかのぼれば、妻が夫に従うのは当然という男尊女卑の考え方が一般的な時代もありました。

そんな時代の農村部では、飢きんや重い年貢などによって生活が困窮し、隣国などに移り住んで暮らしを立て直そうとする家族もいました。

1797年、五島藩と大村藩のあいだで移住協定が成立して以降、海を越えて五島に渡った外海地方のキリシタンたちもそうでした。

彼らは未開の地を切り拓いて集落を形成し、古くから住んでいた仏教徒の集落などと互助関係を築き、農業や漁業を営みながらつつましく暮らしていました。

そんななか、ひそかに信仰を守り続けたキリシタン夫婦のあいだには、いつしか誰も引き離すことのできないほどの固い絆が生まれたのではないかと思います。

夫婦が手を携えて苦難を乗り越えようとするとき、そこには男女を超えて一人の人間として相手を想い、慈しみ、尊ぶ気持ちがわいてくるような気がします。

面と向かって感謝の言葉を述べるのは照れくさい、苦手だという方には今日がチャンスかもしれません。

さりげなく伝える「ありがとう」のひと言が一日を幸せにしてくれます。

 

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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