おらしょ こころ旅

Vol.377

千々石ミゲル夫妻の墓

2021年10月18日 公開

2003年、諫早市多良見町で千々石ミゲル夫妻のものと思われる墓石が発見されました。

千々石ミゲルは、天正年間にローマに派遣された天正遣欧使節の一人で、帰国後、ただ一人だけイエズス会を脱退し棄教したといわれており、その理由は謎に包まれたままでした。

墓石発見から約10年後の2014年に調査がスタートし、これまでにミゲルの妻と思われる遺骨や、信仰用具の一部とみられるガラス玉などが発見されていることから、イエズス会を脱退したもののキリスト教を信仰していたのではないかともいわれています。

さらにその後の調査では、遺体を埋葬するために掘った穴が新たに発見され、そのなかから人骨が出土しており、これがミゲルのものではないかと推測されています。

イエズス会を脱退後、大村藩に仕え、結婚して子どもをもうけ、島原半島の有馬領に移ったといわれている千々石ミゲル。

なぜイエズス会を脱退し棄教したのか。晩年はキリシタンに復帰したのか。そうであるならばなぜ復帰したのか。興味はつきません。

また、墓石に刻まれた夫妻の逝去年によると、ミゲルがこの世を去ったのは妻が亡くなってから2日後のことだったそうです。

そこにはどんな事情があったのか。二人はどのように愛を育んできたのか。千々石ミゲルの人物像とあわせて夫妻の愛の物語も気になるところです。

 

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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