Vol.36
2015年3月9日 公開
3月は卒業シーズン。将来への期待と不安で落ち着かない時期でもありますよね。「卒業」といえば、学生時代の卒業式の思い出がよみがえってきますが、高校生のときに観た映画『卒業』もとても印象に残っています。
1967年、アメリカで制作されたこの映画は、翌年に日本で公開され話題になりました。サイモン&ガーファンクルのテーマ曲『サウンド・オブ・サイレンス』も大ヒットしました。
卒業を機に帰郷した主人公ベンジャミン(ダスティン・ホフマン)と、幼なじみのエレーン(キャサリン・ロス)の母ミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)のただならぬ関係は、当時の高校生には刺激的すぎて観るのが照れくさかったのをおぼえています。
しかし、他の男性との結婚を決めたエレーンが教会で式を挙げているところに、ベンジャミンがやってきて彼女を奪って逃げていくというラストシーンは感動的でした。この場面を観て教会で結婚式を挙げたいと思った人もいたかもしれませんね。
若者の将来への不安や、社会通念への抵抗など、この映画から読み取れるものはいろいろあると思いますが、改めて「卒業」という言葉をかみしめるとき、私たちはきっと小さな卒業を繰り返しながら一歩一歩前に進んでいる。そう思えてくるのです。この春、あなたは何を卒業しますか。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)