Vol.359
2021年6月14日 公開
6月14日は、五輪旗制定記念日です。
1914年(大正3年)のこの日、パリで開かれたオリンピック委員会で5色のオリンピック旗が制定されました。
五輪旗は、近代オリンピックの創立者であるピエール・ド・クーベルタンがオリンピック復興20周年記念祭のために発案したもの。
古代オリンピックの開催地のひとつ、デルフォイの祭壇にあった休戦協定を刻んだ「五輪の紋章」にヒントを得たといわれています。
五輪旗の青、黄、黒、緑、赤の5色は、オセアニア、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカの五大陸を意味し、輪を重ねて連結したその形は、相互の結合、連帯を表現しています。
一方で、1914年は浦上天主堂が完成し、「信徒発見の日」の3月17日に献堂式が行われた年。さらに五輪旗制定からわずか2週間後に起きたサラエボ事件が引き金となって第一次世界大戦が勃発した年でもありました。
相互の連帯の大切さを謳った五輪旗の思想や、新たな聖堂から発信された祈りが戦場に届かなかったのは残念なことですが、きっと戦争とはそういうものなのだろうと思います。
五輪旗の制定から100年以上が経った今年、開催が予定されている東京オリンピック。
開催されるのか、延期なのか、中止なのか。このコラムが掲載される6月14日にはどうなっているのでしょうか。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)