おらしょ こころ旅

Vol.32

ミッションスクール

2015年2月9日 公開

小学5、6年生のとき、同級生5人くらいがひと組になり、どこかに行って何かを調べて発表するという社会科の授業がありました。そのグループに名前を付ける必要はなかったのですが、なぜかみんなで「スクラム」と名付け、調査に出かける前に円陣を組んで何か叫んだ記憶があります。

好奇心旺盛なリーダーのKくんは、近くの施設では物足りなかったらしく、「遠くへ行ってみよう」と持ちかけてきました。どこにしようかと話し合った結果、大浦地区に行くことに決定。浦上に住んでいる少年たちにとって大浦のまちはまるで異国のような存在でした。

大浦まではどうやって行けばいいのか、そこにはどんな施設があるのかを担任の先生に聞いてでかけたのが、当時、児童科学館として使用されていた旧長崎英国領事館(長崎市大浦町)でした。しかし、そのとき何を見たのか、何をノートに書いたのかはまったく記憶になく、おぼえているのは赤レンガのおしゃれな洋館と、その周辺のあか抜けたまちなみでした。

誰かの提案でそこからオランダ坂(長崎市東山手町)に行きました。東山手一帯は、1873年のキリシタン禁制の高札撤廃後、プロテスタント系、カトリック系の学校が建ち並ぶ学びの丘でした。ぼくらが訪れたのは昭和38年頃。きょろきょろしながら石畳の道を歩き、活水学院下から海星学園へと向かいました。

「ここはキリスト教の学校で、ミッションスクールっていうらしかよ」。Kくんがおしえてくれました。どんな人がこんなきれいな学校に通うのかなぁ・・・。憧れのまなざしで校舎を見つめる少年たちの姿がそこにはありました。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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