おらしょ こころ旅

Vol.31

2月5日の空

2015年2月2日 公開

日本二十六聖人の殉教は、台風のために土佐浦戸に漂着したスペイン船サン・フェリペ号がそのきっかけだったという話はご存知でしょうか。「スペインはキリスト教の宣教師を派遣して信者を増やし、やがてその国を征服する」。航海士の発言として豊臣秀吉に伝えられたこの言葉が引き金だったといわれています。

航海士が本当にそう言ったのか、誰かが間違って報告したのか、真実は定かではありませんが、大きな事件って意外に小さなことが原因で起きてしまうものなんだなぁと感じてしまいます。

秀吉は、京都や大坂などで捕らえた日本人20人、外国人6人を長崎まで裸足で歩かせ、1597年2月5日、長崎の西坂の丘ではりつけにして処刑しました。なかには10代の少年たちもいたそうです。

殉教事件から260年以上たった1862年、彼らはローマで聖人に列せられ、100年後の1962年、西坂の丘に記念碑と記念館が完成しました。記念碑は日本を代表する彫刻家、舟越保武氏が約4年の歳月をかけて造った力作。舟越さんは2002年、日本二十六聖人が殉教した日と同じ2月5日に他界されたそうです。

今年も2月5日、聖フィリッポ教会で『日本二十六聖人殉教記念ミサとゆるしの秘跡』が行われます。冬の寒さに震えながら長く苦しい道のりを歩いた日本二十六聖人、その精神に寄り添いながら制作を続けた舟越さん。2月5日の西坂の空がどうか抜けるような青空でありますように・・・。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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