Vol.290
2020年2月17日 公開
このコラムでよく紹介する「〇〇の日」、いわゆる記念日には史実によるもののほかに、地域活性化や企業の販売促進などを目的に語呂合わせで制定されたものもあります。
今日2月17日の「切り干し大根の日」もそのひとつ。
広島県の食品メーカーが2011年に制定したもので、2月が生産の最盛期であることと、「干」の字を「二」と「1」に見立て、さらに「切」の字に含まれる「七」を組み合わせて2月17日にしたそうです。
切り干し大根は全国的に知られた食べ物ですが、長崎県では大根を切ってから茹で、そのあとに干し上げた「ゆで干し大根」のほうが馴染み深いかもしれませんね。
その代表的なな産地が西海市西海町。海沿いの岸壁に連なる干し場に行くと、寒風にさらされた細切りの大根から白い湯気がもうもうと立ち上がる光景を見ることができます。
西海市には、1562年、平戸にかわる南蛮貿易港として開かれた横瀬浦があります。
港に近い公園やその周辺には、日本初のキリシタン大名大村純忠の居宅跡や天主堂跡、天正遣欧使節の一人である中浦ジュリアンが福者に列せられたことを記念して整備された横瀬浦巡礼地、ルイス・フロイスの銅像などがあります。
横瀬浦が南蛮貿易港として賑わったのは開港からわずか1年あまり。大村純忠の義弟の反乱によってまちは破壊されたそうです。
横瀬浦を訪れたポルトガル船の船長が三日三晩、島の上で輝く十字架の幻を見たことから建てられたという八ノ子島の十字架。そして往時をしのばせる波静かな入り江と、軒を連ねた古い家々…。
海沿いの干し場から立ち上がる白い湯気を見ることができるかどうかはわかりませんが、郷土料理が味わえるレストランや特産品直売所などに立ち寄り、冬の史跡めぐりを楽しむのもいいかもしれませんね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)