Vol.28
2015年1月12日 公開
「ちゃんぽん」といえば、長崎を代表する名物料理のひとつですが、県内にはその地域ならではの食材を使った自慢のちゃんぽんを提供するお店がたくさんあります。
ちゃんぽんは、独特の風味をもった唐灰汁(とうあく)麵と、鶏ガラや豚骨からとったスープを使うのが一般的ですが、平戸港のそばの食堂で食べたちゃんぽんは、なんと「あごだし」でした。
「あご」とは「トビウオ」のことで、平戸では水揚げされたあごを塩干物や、だし用の焼きあごなどに加工しています。あごだしちゃんぽんは、たっぷりの野菜に魚介類、あごのすり身が入ったボリューム満点の一品。あっさりとした上品な味わいのなかにも具材の旨味がしっかりと生きています。
現在、平戸では、あごだしちゃんぽんのほか、海や山からとれた豊富な食材を活かし、地元でさかんに行われている相撲をヒントに開発された「あごだしちゃんこ鍋」が市内のホテルや旅館、飲食店で味わえるそうです(3月まで)。
1550年、フランシスコ・ザビエルがこの地を訪れ、布教を始めたのをきっかけに浸透していったキリスト教。その後、禁教の時代を経て、信仰の自由を獲得するまでの歴史のなかで多くの教会や聖地が誕生しました。それらをめぐりながら旬のおいしさに出会うとき、平戸の旅はさらに味わい深いものになると思います。ぜひおでかけください。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)