Vol.273
2019年10月14日 公開
10月14日は「体育の日」です。
もともとは1964年の東京オリンピックの開会日にちなみ、10月10日がその日として制定されていましたが、2000年からハッピーマンデー制度の適用により10月の第2月曜日になりました。
1964年東京オリンピックをリアルタイムで知っているのは60歳以上の方々でしょう。私も学校の視聴覚教室や自宅の居間でテレビ観戦をした記憶があります。
「東洋の魔女」と呼ばれた日本女子バレーボールチーム、重量挙げの三宅義信さん、男子体操の遠藤幸雄さんが金メダルを獲得したシーンが印象に残っているという人も多いでしょうね。
当時は高度成長期のまっただ中。特に「三種の神器」と呼ばれたテレビ、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品が急速に普及していく中、島の暮らしも大きく変わっていきました。
世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつである小値賀町野崎島 ––––。
1950年代中頃に約650人いた島民は次第に減少し、1966年には舟森集落が、1971年には野首集落が集団移住によって廃村となってしまったのでした。
電気が通い、学校給食が始まるなど、それまで自給自足だった生活にお金が必要となり、島外へ出稼ぎにいく人々が増えたのが要因だといわれています。
あれから55年が過ぎ、来年にはこの国で再びオリンピック・パラリンピックが開催されます。
人々が大きな期待を寄せる中、なぜか本当の豊かさって何なのだろうと考えてしまうのでした。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)