Vol.265
2019年8月19日 公開
この時期とくに大変なのが庭の草むしり。ひと雨ごとに伸び続ける雑草は、今が見頃の花々を覆い隠しさらに勢力を広げています。
周囲を見わたせば、道路整備のために確保された空き地や公道の両脇も雑草だらけ。
伸びたままの状態を放置すると、害虫が大量発生する場合もありますし、背の高い雑草が視界を遮って事故を誘発する可能性もあります。
以前は地域の人々が協力して草刈りをしていましたが、とくに斜面地などでは人口減少や高齢化が急速に進んでいるためなかなか手がまわらず、多くは自治体にお願いして除去してもらっているようです。
このように今では電話やメールなどで簡単に伝えることができる市民の要望や苦情。
じつはこうした仕組みは古くからあったようで、その代表的なものが1721年に徳川吉宗が設置した目安箱だといわれています。
目安箱の「目安」とは訴状のことで、政治や経済、日常の問題など庶民の様々な要望や不満を受け付けていました。
しかし訴状には住所や氏名を書く必要があり、記入のない訴状は無効となり破棄されたそうです。
当時はキリスト教禁教期のまっただ中、住所や氏名を書かなければならないのですから、「信仰を許してほしい」などと訴えることはできなかったでしょうね。
その一方で、貧民のための療養院の設置を訴えた町医者の進言が、小石川養生所の誕生につながるなど目安箱は大きな成果をあげたようです。
今、まちづくりに欠かせないのが「市民と行政との協働」という考え方。まずは風通しの良い仕組みづくりが必要なのかもしれませんね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
明暦3年(1657)603人の潜伏キリシタンが発覚した大事件「郡崩れ」に関係する。