Vol.261
2019年7月22日 公開
新たな史料の発見などによって歴史上の人物や出来事の解釈が変わり、それにともなって教科書も改訂されているようです。
たとえば「大化の改新」は645年と習いましたが、現在では改新の詔(みことのり)が発布された646年が大化の改新とされています。
また、鎌倉幕府の設立が1192年ではなく1185年であるとか、足利尊氏像として紹介されてきた「騎馬武者像」が尊氏ではない可能性が高まっているなど、さまざまな説や解釈があるようです。
神戸市立博物館には、日本にキリスト教を伝えたイエズス会の宣教師フランシスコ・ザビエルの肖像画が所蔵されています。
これも歴史の教科書でおなじみですね。
制作期は、ザビエルが聖人に列せられたという知らせが日本に届いた1623年以降と考えられており、イエズス会の教育工房で絵画を学んだ日本人絵師の筆によるものと推測されています。
この肖像画でしばしば話題になるのが頭頂部のみを剃髪していること。カトリック教会の修道士に見られる「トンスラ」という髪型に似ているそうです。
しかし、鉢巻きをしたように頭髪を残す本来のトンスラと異なっていることや、全体の構図などから他の作家の肖像画を参考にして描いたのではないかともいわれています。
そもそもザビエルが属していたイエズス会にはトンスラの習慣はなかったようですし、これ以外にも髪がふさふさとした肖像画もあるようですからね。
最新の研究成果によって次々と解明されていく日本の歴史。ザビエルの人物像に迫るさらなる発見にも期待したいですね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)
明暦3年(1657)603人の潜伏キリシタンが発覚した大事件「郡崩れ」に関係する。