Vol.247
2019年4月15日 公開
日本で最初にキリスト教を禁止したのは豊臣秀吉でした。
1587年に発布した伴天連(バテレン)追放令は「禁教奨商」ともいわれ、キリスト教は禁止するがポルトガル船の来航は奨励するという都合のよい内容でした。
それが一変して厳しいものとなったきっかけは、1596年、スペイン船サン・フェリペ号が台風に遭って土佐浦戸に漂着したことでした。土佐領主から報告を受けた秀吉はさっそく奉行を浦戸に派遣して莫大な積荷を没収。
そして航海士の言葉として「スペインは宣教師を派遣してキリスト教徒を増やし、やがて国を征服する」という報告を受けたのです。
航海士の発言が真実だったのか、いや、そもそもそういうことを言ったのかどうかも定かではありませんが、これを聞いた秀吉は激怒し、京都で布教活動を行っていたスペイン系修道会フランシスコ会の宣教師を捕らえるよう命じました。
これが翌年に起きた二十六聖人殉教の引き金になったともいわれています。
キリスト教伝来から40年以上も日本での布教活動を独占していたイエズス会は、伴天連追放令が発布されたあと表だった活動を控えていました。
そこに公然と入り込んで布教を始めたのがフランシスコ会だったのです。イエズス会VSフランシスコ会という構図も見えてきそうですね。
フランシスコ会の宣教師を捕らえた理由は、伴天連追放令を出しているにもかかわらず漂着した船に修道士が乗っていたこと、さらに積荷を没収したことを正当化するためだったともいわれています。
さて真実はいかに。
登場人物は、豊臣秀吉、土佐領主、派遣された奉行、航海士、捕らえられたフランシスコ会の宣教師、漂着した船に乗っていた修道士・・・。
映画化されると見ごたえのある歴史ドラマになりそうですけどね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)