おらしょ こころ旅

Vol.224

世界遺産を守るために

2018年10月29日 公開

脱いだ靴をきちんと揃えて入口の隅に置き、ドアをそっと開けて中に入ると、ステンドグラスをすり抜けた光が堂内に彩りと温もりを与えていました。

ゆっくりと流れる静かな時間・・・。同行していただいた方に話しかける声も自然と小さくなるのでした。

教会堂は信者の方々の大切な祈りの場。このことを事前に心に留めておいたことから失礼のないふるまいができたのだと思います。

しかし、仲の良い友だちとの楽しい旅行の途中で教会堂を訪れた場合、心静かな状態を保つことができるのでしょうか。そう問われると、とたんに首をかしげてしまいます。

たとえば車中での盛り上がった気分のまま堂内に入ったとき、誰かが思わずカメラのシャッターを切るかもしれません。自分自身が感動のあまりに大きな声を出してしまうかもしれません。ツアーならなおさらのことですよね。

ここで教会堂の見学マナーを改めて整理しておきましょう。

堂内では帽子を脱ぎ、静かに拝観する。堂内にあるものにはふれない。飲食、飲酒、喫煙はしない。写真撮影は行わない。祭壇域などには立ち入らない。教会行事が行われているときは入室を遠慮する・・・。

そして教会堂に加え、地域に住む人々の暮らしに配慮することも忘れてはなりません。

マナーをしっかりと浸透させ、人々の理解と協力を得るためにはどうすればいいのでしょうか。それには信者の方々の想いや地域の皆さんの声をもっと訪れる人に伝えることが必要なのかもしれません。

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は世界の宝。住む人と訪れる人みんなで守り育てていかなければならないのですから。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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