Vol.220
2018年10月1日 公開
コーヒーにうるさい人ってけっこういるようですね。僕のまわりにも豆の挽き方やコーヒーの淹れ方、専用のカップのほか、豆の原産地にもこだわっている友人がいます。
「おいしいなら何だっていいよ」というおおらかな人も好きですが、自分の好みを追究して妥協しない頑固者もそれはそれで魅力的だと思います。
日本に初めてコーヒーが伝わったのは18世紀の長崎、出島でした。しかし当時は鎖国政策のため民衆には行き渡らず、またその風味が日本人の口に合わなかったことから普及しませんでした。
それでも幕末になってコーヒーが少しずつ日本に入ってくるようになると、1864年に横浜の外国人居留地に西洋人を対象としたコーヒーハウスが開業しました。
1864年というと大浦天主堂が建設された年。長崎の外国人居留地にも同じような店があったのかもしれませんね。
その後、東京の浅草や日本橋、神戸の元町などにコーヒー店ができましたが、日本で最初の本格的なコーヒー店は1888年に東京上野にオープンした「可否茶館(かひいちゃかん)」だといわれています。
1888年といえば、信教の自由が明文化された大日本帝国憲法が発布される前の年。 1870年代から80年代にかけては、長崎の東山手を中心にカトリック系やプロテスタント系の学校が次々に誕生した時期でした。
こうやってみていくと、コーヒーって「自由」を象徴する飲み物のような気がしますね。
アイスコーヒーの夏が過ぎ、ホットコーヒーの温もりがうれしい季節になりました。
今日はコーヒーの日。ときにはその芳醇な香りを楽しみながらゆったりとした時間を過ごす。そんなゆとりがほしいですね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)