Vol.216
2018年9月3日 公開
1865年、浦上村の信徒たちは完成したばかりの大浦天主堂を訪れ、宣教師に自分たちの信仰を告白しました。
これが世界宗教史上の奇跡といわれている「信徒発見」の瞬間でした。
この情報はすぐに各地の潜伏キリシタン集落に伝わり、これを機に多くの人たちが信仰を表明したため、再び弾圧が強化され、摘発事件が頻発したのです。
諸外国から強い抗議を受けた明治政府は、1873年に禁教の高札を撤廃、キリスト教はようやく解禁されました。
晴れて信仰を認められた信徒たちを待っていたのは、これからの信仰生活をどうしていくかということでした。
宣教師の指導下に入ってカトリックに復帰する者、引き続き禁教期の信仰を実践する者、神道や仏教へ改宗する者など、信仰の道は大きく分かれたのです。
私たちも人生の分岐点において様々な選択や決断を迫られることがあります。
そのたびに喜んだり悔やんだり悩んだり・・・。でも、そんな経験によって一人の人間が形づくられていくのでしょう。
結果としてどのような「自分」ができあがったとしても、その道のりはオンリーワンを生みだす実り多い時間だったに違いありません。
みんなと同じでなくてもいい。いや、みんなと同じではないから個性は輝くのです。
心ない言葉に負けることなく堂々と前を向いて歩いていきましょう。
僕もあなたも、みんな違う道を。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)