Vol.201
2018年5月21日 公開
子どもの頃、悪者から追いかけられて捕まりそうになったとき、両手を広げて鳥のようにパタパタすると、体が宙に浮いて空に舞い上がった! という夢を何度も見たことがありました。
鉄腕アトムや鉄人28号といった漫画のヒーローたちの影響が大きかったのでしょうが、空への憧れは大人になってからも続きました。
地球外生命体が登場するSF映画「ET」や、アニメ映画「魔女の宅急便」を観ていて空を飛ぶシーンになると、なぜか座席から少しだけ体が浮くような感覚になるのでした。
前置きが長くなりましたが、今日はチャールズ・リンドバーグがニューヨーク、パリ間の大西洋無着陸横断飛行に成功した日です。1927年のことでした。
このときの飛行距離は5,800km、飛行時間は33時間30分だったそうです。ひとりぼっちのフライトは心躍るものだったのでしょうか、それとも孤独と恐怖との戦いだったのでしょうか。
1927年といえば大正時代が終わり、昭和に元号が変わって2年目。昭和金融恐慌が始まった年でもありました。
そして、その3年後にはコルベ神父が上海航路で長崎にやってきて、日本語版の機関紙「聖母の騎士」を発行し、翌年には本河内の斜面に聖母の騎士修道院とルルドを開き、学園教育に力を注ぎました。
当時の不安な社会情勢の中で子どもたちはどんな夢を見ていたのでしょうか。僕と同じように、いや、それ以上に空を自由に飛ぶ自分の姿を思い描いていたかもしれませんね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)