Vol.196
2018年4月16日 公開
4月16日は「ボーイズビーアンビシャスデー」。このカタカナ表記を見たときは何のことかすぐに理解できませんでしたが、これはみなさんよくご存知の「Boys, be ambitious!(青年よ、大志を抱け)」のこと。
1877(明治10)年のこの日、札幌農学校(現在の北海道大学)の基礎を築いたウィリアム・スミス・クラークがこの有名な言葉を残して帰国の途についたそうです。
クラーク博士が教頭として札幌農学校に赴任したのは1876年7月のこと。学生たちに聖書を配り、キリスト教に基づく道徳教育を実践したといわれています。
「Boys, be ambitious!」は、クラーク博士が北海道を去るときに見送ってくれた学生たちに向かって叫んだ言葉だそうですが、彼が実際にこの言葉を口にしたかどうかの確証は残っていないようです。
この言葉が広まったのはそれから90年近くもあとのこと。昭和39年3月に新聞のコラム欄で紹介されたのがきっかけでした。
富や名誉を否定して内面の価値を重んじたその内容は、札幌農学校が確固たる基盤を確立した頃に思い起されたからではないかといわれています。
クラーク博士が帰路についたのは、キリスト教禁教令が解かれてから4年後のことでした。
信仰の自由を与えられ、カトリックに復帰した人々が教会堂建設に動き始めた頃、西洋の思想や文化が日本の地に根付き始めた時期だったのでしょうね。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)