Vol.170
2017年10月9日 公開
最近は春に行われることが多い小学校の運動会ですが、昭和30年代から40年代にかけては春と秋の2回行われていたように記憶しています。
当時は学校だけではなく町単位でも運動会が行われていて、この時期になるとどこからか開催を知らせる花火の音や定番の音楽が聞こえてきました。
人口がそれほど多くない地域では、小中学校の運動会に住民が参加する形で行われていたようですが、家族が競技に出場することや、地区ごとで競い合うというシステムが人々を熱狂的させていました。
競技種目は徒競走や綱引き、パン食い競争、障害物競争、二人三脚、借り物競走など誰もが参加できるもの。一等、二等、三等の賞品は台所用品など生活必需品が多かったような気がします。
その日の弁当は、重箱に詰めた普段よりも豪華なもので、梨やぶどう、青い早生みかんなど、秋のくだものが彩りを添えていました。
「健康増進」が大きなテーマだった時代。それを受けて各地で行われていた運動会。
かつて潜伏キリシタンが信仰を守り続けた集落でも人々の歓声が澄み切った秋空に響いていたのでしょうね。
今日は「体育の日」。
どこかで運動会をやっているといいな。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)