Vol.167
2017年9月18日 公開
最近、旧石器時代や弥生時代、平安時代にタイムスリップする携帯電話のテレビCMをよく目にします。
そしてCMが流れるたびに、この時代の風はどんな匂いだったのだろう。降りしきる雨粒はどんな感触だったのだろうと想像をふくらませます。
子どもの頃、小高い山の上に広がる原っぱに寝転んで、いろんなことを空想して時間を過ごすのが好きでした。
叱られたときや、いやなことがあったときは必ずといっていいほどその場所に行き、大の字になって目を閉じて、魔法のじゅうたんに乗った自分の姿を思い描いて夢の国に出発するのでした。
知っている国や場所はもちろん、勝手に作り出した想像上の世界を自由に旅するのはなんとも楽しく、この上なく痛快な気分になりました。
このまま瞬間移動したり、タイムスリップすることができたら・・・。そんなことばかり考えていました。
少年時代の憧れは今でも少なからずあって、あのCMを見るたびに日本のキリシタン史のワンシーンを垣間見てみたいという気持ちにもなるのです。
南蛮船が来航していた時代の平戸や、教会が次々に誕生した長崎の賑わいを体感したり、大浦天主堂で信徒発見の場面に出くわしたり、その瞬間の空気や音にふれることができたらどんなに感動するでしょうか。
秋風が吹くこの季節はビール片手に原っぱに出かけ、大空の下で空想にふけりながらウトウトしたいものです。たまには理想の未来を思い描いたりして・・・。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)