Vol.156
2017年7月3日 公開
子どもの頃、親に連れられて繁華街に出かけたとき、デパートの食堂にあるアイスクリームを食べるのがとても楽しみでした。
銀色の金属製の器にのった乳白色のアイスクリームの上には真っ赤なさくらんぼ、横には薄くてパリパリとしたウエハースが添えてありました。
アイスキャンディばかり食べていた少年にとってそれは何よりのごちそうで、最初に食べたときは世の中にこんなにおいしいものがあるのかと驚きました。
このアイスクリームとの出会いとは比較にならないでしょうが、16世紀半ばの日本でキリスト教に出会った人々の驚きはどんなものだったのでしょうか。
目の前にいるのはそれまで見たこともない外国人宣教師。ひょっとして彼らは片言の日本語を話したかもしれません。目を丸くしてあ然とする人々の姿が思い浮かびます。
いつの時代もこの世は驚きと発見の連続。怖いものや悲しいものでなければ、ドキドキ、ワクワクは大歓迎です。
今日は、ソフトクリームの日。1951年のこの日、明治神宮外苑で行われたアメリカ独立記念日を祝うカーニバルでソフトクリームが販売され、初めて一般の日本人がソフトクリームを食べた日だそうです。
出会いはアイスクリームよりずっとあとだったけれど、なぜかいつも二つ買っていたソフトクリーム。
溶けるから早く食べようと、その白い螺旋の先端に唇を寄せる少女の姿が今も鮮明に残っています。
あの娘はどうしているのかな。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)