おらしょ こころ旅

Vol.150

俯瞰で見る

2017年5月22日 公開

還暦を過ぎてもまだまだ元気だし、見た目も年相応かなと思っていたのですが、ある日、街角のショーウインドーに映った自分の姿を見て愕然としました。

こんなはずではなかった。それが正直な感想でした。

鏡で全身を見る機会が少なかったとはいえ、こんなふうになっているとは・・・。いや、そのさえない姿よりもショックだったのが、自分を知らない自分がここにいたということでした。

自分のことは自分が一番知っている。意外にそうでもないのかもしれません。いろんな角度から自分を見る。外見も内面も。ときには俯瞰(ふかん)して。できるだけ謙虚に客観的に自分を見ることが必要なんでしょうね。

歴史についても同じようなことがいえそうです。たとえば、世界遺産登録をめざしている「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。

その価値をより深く理解するためには、信徒たちが潜伏していた禁教時代のことだけではなく、日本のキリシタン史全体を知ることが大切だと思います。

最近、高齢者ドライバーの事故がニュースで大きく取り上げられています。気力も体力も衰えていないし、とっさの判断にも自信がある。ブレーキとアクセルを踏み間違えるなんてことは絶対にない。そんなうぬぼれや過信が大きな事故を招いているのです。

もっと冷静に客観的に見つめる目を養いたい。自分のことも、そして住んでいるこの街やこの国のことも。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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