Vol.15
2014年10月6日 公開
古式ゆかしい装束に身を包み、お父さんやお母さんに手を引かれ、少しはにかみながら歩いた「おくんちのおとも」。この時期になると、行列の休憩のときに小さな口をつんと前に出し、母親に紅をさしてもらっていた子どものあどけない姿が浮かんできます。
家からそう遠くなかったことと、長崎くんち(10月7日から9日)に参加できるというのが大きな理由で入園を決めた諏訪幼稚園。その園児たちの行列「おくんちのおとも」は、子どもにとっても母親にとっても一世一代の晴れ舞台。父親は仕事の合間を縫って行列を追いかけ、カメラのシャッターを切っていました。
子どもが小学生になると、かわいいチャイナドレスを着て踊る同級生や、演し物の船に乗って太鼓を叩く友達を応援したり、立派な大人になって太鼓山をかついだり、船を引きまわしたりする幼なじみを見つけたり・・・。わが子の成長と重なる微笑ましくもたくましい光景に出会うことが、祭りの楽しみをさらに深いものにしてくれました。
江戸時代、歴代の長崎奉行がキリシタン対策として保護、奨励したことによって発展した長崎くんち。今では宗教を越え、多くの市民や観光客に愛される伝統行事としてこのまちに定着しています。
今年も、お子さんやお孫さんの「おくんちのおとも」を楽しみにしているご両親、おじいちゃんやおばあちゃんがたくさんいるのでしょうね。長崎くんちは、いよいよ明日から。本踊、弓矢八幡祝い船、鯱太鼓、龍踊、川船、龍船など、七つの踊町が繰り広げる絢爛豪華な演し物をたっぷりとご堪能ください。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)