おらしょ こころ旅

Vol.141

祈りの音の文化

2017年3月20日 公開

今日は「LPレコードの日」。1951年のこの日、日本コロムビアからLPレコードが「長時間レコード」として発売されたことから制定されたようです。

LPとは、長時間の演奏を意味する「Long Play」の略。手元にあるLPレコードの直径をはかってみると30cmもありました。

レコードとは、音楽や音声などが刻み込まれた樹脂製の円盤のことで、これを聴くためにはレコードプレイヤーなどの機器が必要です。

高校時代、ラジオの深夜番組などを聴いて、気に入ったミュージシャンのLPレコードを繁華街の専門店で購入する。それが何よりの楽しみでした。

ジャケットから黒い音盤を取り出してターンテーブルにのせ、アームに取りつけた針をそっとおろす。音が出るまでのわずかな時間さえ待ち遠しかったのをおぼえています。

レコードは英語で「record」と書くように、多くの人々に聴いてもらうために記録されたもの。しかしキリスト教の禁教時代、外海の出津集落には人々に知られることを恐れ、ひそかに口承で伝えられたものがありました。

それが「オラショ」という祈りの言葉でした。

2世紀半という気の遠くなるような長い禁教時代、潜伏キリシタンたちは日常的に無音か小声で唱えることによって、後世の人たちの心にオラショを刻み込んでいったのだと思います。

心に書きとめられた祈りの音と言葉————。
守り伝えていきたい文化がここにあります。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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