おらしょ こころ旅

Vol.139

禁教令の高札

2017年3月6日 公開

私たちはあふれんばかりの情報の中で暮らしています。それは便利でもあり、少々怖いようでもあり、その情報が正しいかどうかを見極める力も求められているようです。

Information を「情報」と訳したのは、明治時代の文豪、森鴎外といわれていますが、そこからさらに時代をさかのぼって江戸時代の主な情報源というと、瓦版や見立番付があげられるかもしれません。

瓦版は、火事や地震などの災害情報、日常の事件などを速報で伝える今の新聞のようなもの。見立番付は、相撲の番付に見立てて日本の名所や温泉地などを紹介したもの。こちらはガイドブックみたいなものだったのでしょうね。

一方、幕府が庶民を取り締まるために、基本的なきまりを書いて路傍に立てた高札う木製の掲示板もありました。

そこに記されていたのは「親孝行をしましょう」「真面目に働きましょう」「贅沢をしてはいけません」といった内容だったようですが、1614年に出されたキリシタン禁教令も高札として掲げられ、全国の多くの人々が知ることとなったのでした。

この禁教令の高札が取り外されたのはなんと1873年。設置されてから約250年後のことだったのです。

自宅から大通りに向かう坂道を下りたところにある自治会の掲示板。そこにはかわいいイラストが描かれたポスターやチラシなどが貼ってあります。

それらを見るにつけ、今の時代に生まれて本当によかったと思うのです。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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