Vol.133
2017年1月23日 公開
子どもの頃、正月の松飾りやしめ縄などを家々から持ち寄り、一箇所に積み上げて燃やす火祭りの行事がありました。
毎年1月15日頃に行われていたこの火祭りのことをみんなは「どんど焼き」と呼んでいたような記憶があります。
ときおり風にあおられて大きくなる炎や、竹が燃えるパンパンという音に驚きながらも、子どもたちは残り火で焼いた餅を食べるのを楽しみにしていました。
今では野焼きが禁止されているため、こういった火祭りの行事も年々少なくなっていくのでしょうね。
電気やガスで食事の準備をするのは当たり前の時代ですが、かまどでご飯をたいたり、まきで風呂をわかしたり、火をおこして生活をしていた時代、家々から立ち上る煙は人々の居場所や安否を知らせる合図でもありました。
だから禁教期、弾圧が厳しい地域の人々は、寒い冬に暖をとることもなく、息をひそめ震えながら追っ手が立ち去るのを待っていたのだと思います。
冬になると、2年前に訪れた平戸市生月町の「ダンジク様」を思い出します。そこは、暖竹(ダンジク)の茂みに隠れていた家族3人が処刑されたと伝えられる殉教地。彼らもまた火に手をかざすことなく、体を寄せ合って寒さをしのいだのでしょう。
焚き火をして焼き芋をつくったことや、寒中水泳のあと燃え盛るドラム缶のそばでぜんざいを食べたことなど、火にまつわる思い出はたくさんあると思いますが、冬は火事が多い季節、くれぐれも火のもとには気をつけてください。
今年も子どもたちの元気な声が夜の町に響きます。
火の用心、マッチ1本火事のもと!
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)