おらしょ こころ旅

Vol.130

年末年始の伝統

2016年12月26日 公開

先日、タクシーに乗ったときのこと。「もう今年も終わりますね」という運転手さんのひと言から、子どもの頃の懐かしい年末や正月の話になりました。

「年末には町内で餅つきがあってそりゃ賑やかでしたね。みんなで正月を迎えるという一体感にあふれていました」と運転手さん。

たしかにそうだった。男衆が威勢のよい掛け声をかけながら餅をつき、女性や子どもたちがそれを丸めていく。手に伝わる餅の温かさと柔らかさが幸せな新年を運んでくるようでした。

「正月は店が開いていないので、ほとんど寝正月でしたよね」。「子どもだから退屈で、よく友達を誘って外でコマまわしをして遊びましたよ」。

これが昭和30年代の懐かしい年末年始の風景ですが、県内には20数年前までキリシタンの儀式が行われていた地域があったそうです。それは禁教期に厳しい弾圧が行われた平戸の根獅子です。

このウェブサイト「おらしょーこころ旅」のコラムによると、根獅子では12月末になると、顧問役の方が身を清めるために自宅の座敷にこもって数日間を過ごしたあと、正月には井戸水で身を清めて「ウシワキ様の井戸」でお水とりを行い、各家をおはらいしてまわっていたとのこと。

儀式は1992年まで続いたそうですが、コラムの最後には儀式を守り伝えていくことの大変さがつづられています。

忘れてはならない正月の風習といえば年賀状。今年もあとわずかですが、どうにか頑張って今年中には投函したいと思います。

今年もウェブサイト「おらしょーこころ旅」をご覧いただきありがとうございました。来年も心温まる話題をお届けしたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。

(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)

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