Vol.13
2014年9月22日 公開
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉があるように、この時期になると暑さが和らぎ、しのぎやすくなりますので、澄み切った青空のもと秋風を感じながら、山登りやまち歩きなどに出かけたくなりますよね。
よく旅先で史跡などを訪れたとき、石碑と説明板しかなくてがっかりしたという人もいるでしょうね。まちが成長する過程でどうしても保存できなかったのでしょうから、残念ですがしかたないのかもしれません。でも、その近くの観光スポットを訪れたり、周辺を散策したりすると、もっと歴史が身近に感じられたり、当時のまち並みが想像できたりしてけっこう楽しいものです。
先日、トードス・オス・サントス教会跡(長崎市夫婦川町)を訪れました。桜馬場中学校横の坂道を登っていくと、長崎地方で最初にキリスト教を布教したというルイス・デ・アルメイダの渡来記念碑が正面に見えてきます。そこを左に曲がったところ、現在の春徳寺がある場所です。この教会は、長崎の領主 長崎甚左衛門がイエズス会に与えた土地に建てられた長崎初の教会。一時はセミナリヨ(中等学校)やコレジオ(10年制大学)などが併設されていましたが、幕府の禁教令によって取り壊され、そのあと春徳寺が建てられたそうです。山門のそばには教会跡、コレジオ・セミナリオ跡を記す石碑が立っていました。
裏庭にあるという教会時代の井戸を見つけることはできませんでしたが、のんびりと周辺を歩きながらいろんな発見をすることができました。トードス・オス・サントス教会がたばこ栽培発祥の地であったこと、長崎甚左衛門の居館が現在の桜馬場中学校の敷地にあったこと、新大工町から蛍茶屋に続く長崎街道沿いに古い石橋や由緒ある神社があることも・・・。
セミナリヨやコレジオに通っていた若者たちは、長崎街道を通って江戸参府に向かう一行をどんな気持ちで見送り、教会のあった丘から眺める長崎のまちにどんな想いを寄せていたのでしょうか。
そうそう、このあたりには古くからある饅頭屋さんや、お好み焼き屋さん、昔ながらの喫茶店、名物のうどん屋さん、手頃な値段で味わえるお寿司屋さん、おしゃれなカフェにイタリアンの店など、グルメもいろいろ。お好みに合わせたランチタイムも楽しめそうです。
(文:ヒラモトヨシノリ、イラスト:ナカムラタエ)